糸原　重美

理化学研究所　脳科学総合研究センター　チームリーダー

早稲田大学ストレス応答制御に基づく次世代型健康寿命科学の研究拠点形成

精神・神経疾患研究班
理化学研究所脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チーム　糸原重美

動物の行動は、複雑な外来性および内因性情報が脳内で統合された結果として発現されますが、情報の統合の基礎は高度に統制された分子および細胞ネットワークに有ります。このネットワークは、主として遺伝因子、部分的に環境因子により制御され、傷害、感染、社会的・物理的ストレスや遺伝的因子などによるネットワークの破綻あるいは混乱は、ヒトの認知機能不全や多様な精神異常をもたらします。私達は、ほ乳類の中枢神経系で高度に統制されたネットワークはどのようにして形成され、環境因子によりどのように修飾されるのか、また独立した情報を統合あるいは分別する機構はいかなるものか、明らかにする事を目的として研究しています。逆遺伝学の手法で作製した変異マウスは、いかなる表現型レベルにおいても明白な因果関係を提供しますので、遺伝的特徴を有するマウスを逆遺伝学の手法で作製し、これらを利用して動物の行動を制御する神経回路の形成機構とその機能を解析します。相互排他的発現するNetrin-G1とNetrin-G2は夫々が重要なシナプス機能分子であると同時に、ほ乳類の神経回路を標識する分子指標です。Netrin-G1とNetrin-G2とそれらの結合分子を起点として、注意と衝動性の制御機構について解析しています。この研究では、外的因子がこれらの分子および神経回路に及ぼす影響を解析します。