研究者

岡野 俊行

早稲田大学 理工学術院 教授

紫外線と短波長可視光によるストレス応答の分子メカニズム

紫外線や短波長可視光は酸化ストレスを引き起こし、皮膚や網膜の細胞において遺伝子損傷・アポトーシス・癌化等を引き起こす。これらの外部光は同時に、組織に作用して生体リズムや免疫機能の調節に関わることが知られている。我々はこれまでに、魚類からヒトにいたるさまざまな脊椎動物の皮膚や網膜、あるいは脳内の神経内分泌細胞において光応答遺伝子を同定した。これらの遺伝子がどのような光受容分子からどのような細胞内情報伝達過程を介して発現制御されているかを知ることは、酸化ストレスに対する生体防御の仕組みを解明する上で重要である。特に、短波長光によって生じるラジカルが、DNA損傷を引き起こすのと同時に、重要な生体内シグナルとなっている可能性が想定されるが、そのシグナル受容の詳細は不明である。これには、光によってピリミジン二量体の修復を行う光回復酵素、およびその類縁タンパク質である短波長光受容分子が重要な働きを担うと推定されるため、本研究では、さまざまな動物細胞を用いて光依存的ROSストレス解析のモデル系を確立すると同時に、候補となる短波長光受容分子の機能や局在を調べ、細胞内光情報伝達経路の解析を目指す。

岡野 俊行