研究者

柴田 重信

早稲田大学 理工学術院 教授

体内時計システムとストレスの関係を研究している。最近、末梢臓器に発現する時計遺伝子発現リズムをインビボで何回も測定可能なシステムを開発した。拘束ストレス、温熱ストレスといった物理的ストレスや、コミュニケーションボックスを用いた心理的ストレスが、マウスの末梢臓器に発現している体内時計の位相を変えうる可能性につい調べている。つまり、ストレスが体内時計の位相を変え、リズム変調を引き起こす可能性、逆に毎日の一定時刻のマイルドなストレスは位相の維持に役立つ可能性もある。また、老化動物を用いて、ストレスに対する反応性の違いを調べ、ストレス緩和の方策も考案中である。ストレスの細胞内シグナリングについても調べ、体内時計の位相を動かす機構についても調べる。

健康維持に、食・運動・休息(睡眠)の3要素は非常に重要であるが、現代の複雑な社会構造では、この3者実行が適切になされていない。そのため、肥満などを始めとする生活習慣病が増大している。これらの3要素と体内時計には密接な関係があり、高脂肪食による肥満や、運動による抗肥満効果は、食や運動のタイミングが重要な要素となることがわかった。 このように体内時計と食・栄養や、運動との関係を明らかにする「時間栄養学」、「時間運動学」の研究領域を開発してきた。すなわち体内時計の上手な使い方が「時間軸の健康科学」に寄与し、ひいては健康長寿の寄与するものと考えている。

柴田 重信